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相続・国際相続

日本では、相続税の基礎控除額が引下げられたため、相続税は身近な税金になっています。また、経済のグローバル化により日本の国外に財産を保有するケースも多くなり国際間にまたがる相続事例も増加しています。

相続に関する手続及び制度など

死亡届の提出

死亡後7日以内に住所地の役所に死亡届を提出する必要があります。

年金停止

亡くなられた方が年金を受領していた場合、速やかに「年金受給権者死亡届」を提出する必要があります。年金が厚生年金や国民年金の老齢基礎年金の場合は、社会保険事務所へ、それ以外の場合は市区町村の国民年金窓口に届出を提出します。

保険請求

生命保険金の請求手続きは、保険契約において受取人として指定されている方が保険会社に連絡して手続きを行います。

日本の銀行口座

金融機関で相続手続きをする場合、金融機関によって求められる書類が異なったり、手続きに時間を取られたりする場合がありますので、ご注意ください。

カード解約

クレジットカードの解約手続きは、クレジット会社に連絡して解約手続きを行います。インターネット、携帯電話、ケーブルテレビ、航空会社マイレージ、個人リース契約、フィットネスクラブ等の各種会員権の利用がある場合には、その会社等に連絡して解約手続きを行います。

遺言書の確認

相続人は、遺言書の有無を確認します。遺言書がある場合は、故人の意思を尊重して遺言の手続きを進めることになります。自筆の遺言書があれば、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。遺言書がない場合は、誰が財産を引き継ぐかを明らかにするため、戸籍謄本などにより法的に相続の権利がある法定相続人を確定する必要があります。

相続放棄、限定承認

相続で引き継ぐ財産にマイナスの財産が多い場合は、家庭裁判所に申し出ることで、相続放棄や相続財産の範囲で借金を負担するという限定承認の手続きを行うことも可能です。相続放棄や限定承認を行う場合には、相続開始から3か月以内に手続きを行う必要があります。

準確定申告

確定申告が必要な方が亡くなられた場合、相続開始から4か月以内にその年の1月から亡くなった日までの所得を申告するという準確定申告の手続きが必要になります。

相続税の申告と納付

相続税の申告・納付は、相続の発生を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。相続税納付は、現金で一括納付することが原則です。納税資金が足りない場合には、分割払いで相続税を納める延納制度や、現物で納める物納制度を利用することができます。相続税の申告義務がある相続人が相続税の申告をしない場合は、無申告加算税などのペナルティーが課せられます。

法定相続情報証明制度

被相続人と相続人の戸籍謄本の内容を一覧図にした証明書が法務局より発行される制度です。必要書類を収集・作成し、法務局に申出ることで、無料(5年間)で交付を受けることができます。複数の法務局管轄内に不動産を所有している場合は、この証明書を複数取得すれば、重複した戸籍謄本を入手せずに不動産登記申請が行えます。また、この証明書は、預貯金の相続手続、保険金の請求、有価証券の名義変更手続きなどにも利用できます。

高齢者の資産管理

老衰や認知症の発症により高齢者の判断能力が低下し、高齢者が自分の資産を適切に管理・保管することが難しくなるケースがあります。また、オレオレ詐欺などに引っかかってしまい、資産をだまし取られるケースもあります。日本では、高齢者の資産を守る方法のひとつとして成年後見制度があります。

成年後見制度

成年後見制度とは、認知症を発症した高齢者などが所有する財産について、その財産が不利益を被らないようにするため、後見人を選定し、その人を支援しようとする制度です。この制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。両制度を【図1】にまとめました。

【図1成年後見制度】

法定後見制度 任意後見制度
判断能力 本人に判断能力ない 本人に判断能力あり
内容 親族等が家庭裁判所に申し立てを行い、判断能力に応じて、裁判所が職権で後見人、保佐人、補助人を選任します。裁判所が選任した後見人等は、本人の代理として財産を管理し、施設入所に関わる契約実行権限も有します。 自分の意思で将来の後見人を予め指定し、自分の生活や看護、財産管理の代理権を与える内容の任意後見契約を結んでおきます。判断能力の低下後、家庭裁判所に任意後見監督人の選任申し立てを行い、その監督人のもと、後見人は適切な保護支援を行います。

日本国内の財産

日本の税務署が高額所得者等の保有する国内財産を把握する制度として、財産債務調書制度があります。これは、所得税・相続税申告の適正性確保の観点から、一定の基準を満たす方に対し、その保有する財産および債務に係る調書の提出を求める制度です。

日本国外の財産

日本の税務署が国外の財産を把握する制度として、国外財産調書制度があります。これは、適正な課税・徴収の観点から、国外財産を保有する方からその保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度です。前述の財産債務調書制度と国外財産調書制度の概要を【図2】にまとめました。

【図2財産債務調書制度と国外財産調書制度の概要】

財産債務調書 国外財産調書
提出義務者 所得税等の確定申告提出義務者で、その年分の各種所得金額の合計が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、合計3億円以上の財産等を保有する者 その年の12月31日において、合計5,000万円を超える国外財産を保有する日本の居住者
軽減措置 期限内提出の調書に記載された国外財産、国内財産あるいは債務に関して所得税・相続税の申告漏れが発生した場合、加算税を5%に軽減します。
加重措置 期限内に調書の提出がない場合、または期限内提出の調書に記載されていない国外財産、国内財産あるいは債務に関して所得税の申告漏れが発生した場合、加算税を5%加重します。
虚偽記載の罰則 なし 1年以下の懲役または50万円以下の罰金

相続発生のとき

日本で相続が発生した場合、日本の税務署は、亡くなられた方(被相続人)の収入に基づき、その方の財産をある程度把握することができます。また、銀行、証券会社、保険会社から届く情報により金融資産も把握することができます。今後は、マイナンバーと金融資産が紐づけられることにより、個人の金融資産情報は、より正確に把握されることになるでしょう。